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家庭でできる「モンテッソーリ教育」


子どもは大人と対等な存在であり、人格を持った一人の人間だ。
それゆえに、子育てにおいて何よりもまず大切なことは、「子どもを尊重して信じる」ことである。
子どもはみな「自ら育つ力」を持ち、誰に何を言われなくとも、自らを創っていくことができる。子どもの育ちには、子どもの持つ力を無条件に信じる、大人のサポートが欠かせない。
モンテッソーリ教育は、子どもを尊重して信じることを基盤に作り上げられた教育方法だ。子どもの生きる力を育てることができるだけでなく、相手を尊重するかかわりを意識することによって、子育てをする大人自身も大きく成長することができる。
子どもは、2つの「じりつ」に向けて自らを発達させていく。自分のことを自分でできるようになる「自立」と、自分を律することができるようになる「自律」だ。
特に、0~6歳の乳幼児期は、自分という個をつくる、人生において大切な時期だ。この期間、子どもは発達をあきらめたり、嫌がったりすることなく、自らを発達させることに必死である。
0~3歳の時期は、「無意識」の時期とされ、意識的に何かをするよりも、自らの衝動に従ってエネルギーのままに動くことが多い。
3~6歳の「意識」の時期になると、「自分がどうしたいのか」という目的をもって物事を選択し、意識的に取り組む姿が見られるようになる。
0〜6歳の幼少期といっても、前半と後半で発達段階が異なる。子どもと接するときには、その子が今どの段階にいるかを考えてみよう。

モンテッソーリ教育の4つのポイント


モンテッソーリ教育は、園や学校に限らず、家庭でも取り入れることができる。その際には4つのポイントを意識したい。
まずは、「環境を整える」こと。モンテッソーリ教育では、子どもの「今やりたい」気持ちを叶えられる環境を用意する。
やりたい気持ちがあっても環境が整っていないと、子どもはエネルギーが発揮できず、不満足に終わってしまう。例えば、ティッシュを何度も引っ張る子どもには、繰り返し「引っ張る」動作を経験できる活動を用意する。
このように「環境」を通してサポートすることで、大人が直接子どもに教えるという一方的な構図ではなく、大人は間接的に子どもの育ちを助けることにつながる。
子どもをサポートするためには、「子どもを観察する」ことが欠かせない。「もっとこれをやってほしい」という大人の願いや先入観を排除して、その子の興味にまなざしを向ける。
どんなサポートをしたらその子の育ちが助けられるのか、前向きに考えてみよう。
子どもに何かを伝えるときに「大人がやって見せる」ということもポイントだ。子どもはまだ抽象的に考えることができないため、やって見せる際にはいつものペースより7~8倍ゆっくりやってみせてあげよう。
そして最後のポイントは、「見守る」ことだ。子どもが間違えたり、失敗しそうになったりするとき、経験のある大人は手出し、口出しをしたくなるものだ。
しかし、子どもにとっての成長とは、「できるように大人にやってもらう」ことではなく、「子どもが自分でできるようになること」である。
このためにも、子どもが自分で間違いに気づく瞬間を「待つ」かかわりが必要である。

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モンテッソーリ教育が教えてくれた「信じる」子育て

子どもの心の扉を開く伝え方


時間がないときや余裕がないとき、つい子どもに怒りをぶつけてしまい、後悔する親は少なくない。そんな親はけっして「ダメな親」ではない。
大切なのは、怒ってしまって「当たり前、仕方ない」と済ませるのではなく、子どもの育ちを助ける作業において、自分に何ができるのかを見極める試行錯誤を忘れないことだ。
その経験によって、親も一人の人間として成長することができる。毎日100点満点を目指すのではなく、1~2週間の長いスパンで見たときに、自分が納得できる状態にもっていくと捉えるとよい。
毎日の支度や片付けで、子どもが自ら行動しない、声を掛けてもなかなか動かないというのはよくある悩みの一つだ。
この時期を生きている子どもは、「今」目の前にあることにエネルギーを注ぐため、先を見据えて行動したい大人との間にギャップが生じやすい。大人同様、子どもにも都合がある。
子どもを対等な立場の人間として尊重するためにも、命令や指示ではなく、お願い、依頼、提案をするような声掛けを心がけよう。大人でも、頭ごなしに言ってくる人よりも、思いやりを示してくれる人に好感を持ちやすいはずだ。
子どもが相手であっても、「早くしなさい!」と命令するよりも、「もう家を出ないといけないから、靴履いてくれる?」と言ったほうが、受け入れてもらいやすい。
また、4歳以降は、決定権を子どもに持たせるようにすると、自分で考えて行動する力につながる。
「お風呂に入ろうと思うけど、あと何冊でおしまいにする?」など、子どもに決める主導権を渡すことで、子どもは満足し、決めたことに責任が持てるようになる。
こうした時間制限のある場面に限らず、子どもが決めたのであれば、子どもの選んだものを尊重するようにしていくことで、子どもの「自己選択力」を育む助けになる。

「イヤイヤ」に対応する


2歳ごろになるとやってくるイヤイヤ期は、子どもが「お母さん」という存在から自分を分離させ、自立の一歩を踏み出す時期だ。親から見ると「反抗期」と呼ばれるこの時期、子どもはただ自立に向かいたいという一心なのだ。
例えば公園から家に帰るときであれば、まず「イヤイヤ」が出る前に予防として、「もう少しで帰ろうね」と事前にアナウンスをしておこう。そうすることで、子どもは心の準備ができる。
そして、「お散歩しながら帰ろう」などと、次の行動の楽しみを伝えると、子どもが行動を切り替える助けとなる。
声を掛けるときは、指示ではなく、協力を求めお願いするようにしよう。それでも「イヤイヤ」が始まってしまったら、「帰りたくないね」「遊びたいもんね」と、子どもの言うことを繰り返しながら、子どもの思いを受け止めてあげたい。
自分の気持ちをわかってほしい、という子どもの主張に対して、大人が共感の姿勢を見せることが重要だ。そのうえで、できないときはきっちりと線引きを行う。そして、時間が許す限り待つ。
すると、子どもの心の折り合いがついて、落ち着くことがある。
それでもダメなときは、「もう時間がないから抱っこするよ」と、意識的に子どもに一言断りを入れてから、抱きかかえて移動してしまおう。
こうした経験を通じて、子どもの自制心は少しずつ育まれる。自制心は筋肉と同様、使わないと鍛えることができない。乳幼児期からの日々の積み重ねで獲得していく必要がある。

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モンテッソーリ教育が教えてくれた「信じる」子育て

「できる」が増えるかかわり方


食事は生きていくために必要不可欠だ。
栄養補給の面でだけでなく、大好きな人と一緒に食べる喜びや、味やにおいなどの五感を通じた心地よさを経験することは乳幼児期の子どもにとって重要なことだ。
食事中は、「座って食べる」を徹底しよう。動きたくて仕方ない子どもが立って遊びだすときには、遊んでいる場所まで追いかけて食べさせたりしてはいけない。
それでは、子どもは「座らなくても食べられる」と学習してしまう。
「物を落としたい」というような子どもの欲求は、おもちゃや活動で満たしてあげた方が良い。食事をしているときにわざと子どもがものを落としているようなときは、大人の反応を楽しんでいる場合がある。
シンプルに「拾おうね」と伝えるなどして、あまり反応しないようにしよう。
子どもが自分でやりたがらないことをさせるのは一苦労だ。例えば、子どもが一人で着替えたがらないことの原因としては、大人がやってくれるものだと思っていることや、やり方がわからないことなどが考えられる。
こうした場合、子どもが自分ですべてできなくとも、「参加できる」ようにすることがカギとなる。
例えばズボンをはかせるときは、ある程度のところまで子どもの足を誘導したら、最後に足を裾から出す段階で、子どもに自分で足を出すように声を掛ける。
できることを子どもに託す姿勢によって、子どもが着替えを「自分事」として捉えられるようになるのだ。

子どもと約束するヒント


子どもが約束を守れないのはなぜか。
それは、乳幼児期の子どもは今を生きているからだ。年齢が低いと、過去や未来のことを意識できない。子どもが約束を守れるようになるにはいくつかのポイントがある。
例えば買い物に行く際におやつを買わない約束をするとしよう。まず、スーパーに行く前と、スーパーに着いた直後にそれぞれ「おやつを買わない」ことを伝える。
段階を経て確認することで、子どもは約束を過去のこととして忘れずに、その場でも思い出せるようになる。ぐずっても、約束は貫き通そう。
そして、守れたらシンプルに「行動」を認めてあげよう。
特に重要なのは、大人が約束を守る姿勢を普段から見せることだ。大人は「あとでね」「今度ね」と軽い約束を子どもにすることがある。
子どもが約束を忘れていると「まぁいいか」となかったことにした経験がある人は少なくないだろう。しかし、たとえ子どもが忘れていたとしても、大人が率先して約束を遂行するようにする姿を見せることが重要だ。
親子の信頼関係が育まれるだけでなく、「約束は守る」ということが少しずつ子どもの中で当たり前のものになっていく。

叩いたり噛んだりするとき


思い通りにいかないことがあったとき、叩いたり噛んだりすることがある。年齢が低い子どもは、言葉で伝えることが難しく、身体を使って表現しようとする。
そんなときは、言葉だけではなく、まず身体を使って制止するようにしよう。そして、やってはいけないことを「叩かないよ」「噛まないよ」とシンプルに言葉で伝える。
線引きをはっきりと示した後は、「このおもちゃで遊びたかったのよね」と子どもの気持ちを代弁する。そして、最後に、言葉を使った具体的な表現方法を伝えることが重要だ。
「こんなときは『かして』って言おうね」など、子どもが話す部分を強調して伝えると子どもにとってわかりやすくなる。
大人が怒ったり叱ったりしてしまうと、「怒られた」という印象が強く残り、本来伝えるべき「やってはいけないこと」や「具体的な表現方法」が子どもに伝わりにくくなってしまう。
大人の焦りや心配はいったん切り離して、冷静に伝えるようにしたい。

子どもの育ちに必要なのは、適切な環境としての「空間」、自分のモデルとなる「人間」、自分で何かを成し遂げるための十分な「時間」、そして大人の精神的なゆとりである「余白」だと著者はいう。
子育ての悩みは、パートナーとの関係や寝不足、仕事などの子育てに関わる周辺の悩みと絡み合っていることが多い。
こうしたなかで、心に「余白」を生むためには、何をしたら自分の心が落ち着いていられるのかを見つけなければならない。自分で自分の機嫌をとり、大人が心に「余白」を持っていられれば、子どもの育ちをポジティブにサポートしやすくなる。
子どもにとっての幸せは、「自分らしさやペースが保障されていること」だ。大人がわが子を他の子と比べて、できないところばかりを伸ばそうとすると、今その子が求めていることが見えなくなることがある。
しかし本来、子どもによって成長のペースは異なる。「あなたはあなたでいい」という無条件の愛や信頼が、子どもの個を作り上げるために重要だ。
みんな違っていいという大人の姿勢が、子どもを安心させるのである。
子どもへのかかわり方を変えたいと思ったときが、始めどきだ。大人自身が生きることを楽しみ、子どもに生きていくことの希望や楽しみを伝えていきたい。

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モンテッソーリ教育が教えてくれた「信じる」子育て


子どもに成長してほしい思いから、「はやくやりなさい」と叱ったり、あれこれ手出し口出しをすることはありませんか?

「子どもは大人が育てているもの」と思われがちですが、実は子どもには「自ら育つ力」があります。
大人はその「自ら育つ力」を信じ、子どもが自分で育っていこうとするのをサポートすることが大切なのです。
そのヒントがモンテッソーリ教育にある―――。

本書では、0~6歳までの子育てをする中で抱くことの多いお悩みや疑問を例に挙げ、ケースごとに、子どもの「今」の姿、子どもの「心」に焦点を当てて、適切な対応法をわかりやすく解説します。
モンテッソーリ教育を子育ての場面でどのように落とし込めば良いのかが具体的にわかる1冊!
読み終える頃には子どものことがよくわかり、「もっと子育てを楽しめそう」と感じてもらえるはずです。


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